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医療ベンチャーエンジニアが新型コロナにかかって感じたこと

この記事は MICIN Advent Calendar 2022 の5日目の記事です。
前回は眞嶋さんのRedwood.jsで爆速TypeScript-Web開発でした。

本日誕生日を迎えて一つ歳を重ねたMICINエンジニアの木南です。
Happy Birthday and Merry Christmas!
現在、MICINでは、MedBridgeという患者様のヘルスデータを収集するツールの開発を担当しています。

今回は11月中旬に新型コロナに感染し、東京都の療養施設を利用した体験についてお話ししようと思います。
なお、COVID-19に関する最新の情報は内閣官房ホームページ( https://corona.go.jp/) をご参照ください 。(※本記事はあくまで個人の体験談であり、全ての人に当てはまるものではありません。)

検査キットの申し込み  発症日の把握は重要

最初の兆候は夕方くらいから発生した喉の痛みでした。

なんとなくいやな予感はしたので市販の風邪薬を飲んで寝たのですが、案の定、次の日の朝には38度台の発熱となりました

現在東京都では重症化リスクの低い人は自主検査が推奨されています。

ネットで簡単に申し込めるので、早速午前中に検査キットを申し込んだところ翌日の午前中に到着しました。また、申し込みと同時に家族用の濃厚接触者の検査キットも申し込んだのですが、こちらは3日後の到着でした。

東京都の検査キット (https://tokyo-testkit.metro.tokyo.lg.jp/ より)

この辺りの検査を受けるタイミングがその後の日程に影響する場合もあるので、おかしいと感じたらすぐに申し込んでおくのが良いと感じました。

また、この後の療養解除日などは最初に症状が出た発症日が基準となるので、陽性と判定された場合には発症日をしっかりと記録しておくことが重要です

もし検査キットの到着が遅いようであれば、発熱外来を調べて検査をする方が良いかもしれません。

陽性判明! 初動が肝心。

到着した検査キットで調べたところやはり陽性でした(ショック!)。

発症3日目ということで、発熱に加えて咳の症状がひどくなり、この辺りが一番辛い期間でしたが、色々とやらなければいけないことがありました。

まずこの時点で一番心配だったのは家族への感染です。

同じ家で生活をしている中で感染を予防するの至難の技です。そこで今回は東京都の提供する宿泊療養施設に申し込むことにしました。

療養施設に申し込むためには、まず「東京都陽性者登録センター」に登録する必要があります。登録には検査キットの結果の写真と本人確認書類をネットで送信します。送信後、受付確認メールが来るのですが、確認が済むまでは本登録はされていない状態です。

上記の申込後、「東京都宿泊療養申込窓口」に電話をすることでホテルの手配をすることが可能になります。

(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/shien/index.html#cms3665D より)

電話で状況を説明して連絡先を伝えることで宿泊の調整が始まります。申込後にしばらくすると宿泊の調整の連絡があり、その日の夜に宿泊先が決まったとの連絡が来ました。宿泊先は自分では選択することはできず、今回は品川駅前の品川プリンスホテルイーストタワーに滞在することになりました。

熱と咳で辛いときにスマホで細かい作業をしたり電話で症状を説明したりするのはなかなか辛いものがありました。

幸いなことに私は次の日から入所できることになったのですが、検査キットの到着やホテルの手配具合によってさらに時間がかかってしまう場合もありそうです。

家族への感染などが心配な場合には、事前に手続き方法などを調べておき初動を素早くする必要があると感じました。

ホテルへの移動  事前準備をしっかりと!

自宅からホテルまでは、保健所の手配した送迎車で移動します。午前中に送迎の予定時間の連絡がありました。

今回は13:30頃に自宅に来るというで、荷造りをしながら到着を待ちました。今回私のところに来たのは、ドライバーとの間をビニールシートで分離し換気用のダクトを前から後ろに向けて設置した特殊なタクシーでした。

時間調整がしっかりとされているようで、タクシーがホテルに到着すると流れ作業的にホテルにチェックインすることができます。

患者と係の人は直接接触しないように距離を置いたり仕切りをつけたりという工夫が随所にみられました。

ホテルはシングルルームですが、小さな冷蔵庫、トイレバス、シャンプーなどのアメニティ、テレビ、WiFiはついているので比較的不自由なく滞在することができました。

食事は3食お弁当を自分でロビーに取りに行く形式で、ロビーに設置された電子レンジで温めて食べることができます。

一度入ってしまうと外出はできずネット通販なども利用できないので、事前の持ち物はしっかりと考えて持っていくことが肝心です。

特に、体調が戻った最後の方は時間があるので、パソコンや電源などの電子機器や、自分に合った食料品などを用意しておくと良いと思います。食料品はカップラーメンは水道が詰まるので禁止など細かい規則もあるのでよく調べて選定する必要があります。

ちなみに個人的に持って行ってよかったものは、カップスープや味噌汁などの汁物や、りんごやみかんなどの果物などでした。特に生野菜はほとんど取れないので野菜系の汁ものは重宝しました。

お弁当と持ち込みの卵スープ

また洗濯はできないので、ダイソーで入手したコンパクトタオルも活躍したグッズの一つです。これは非常にコンパクトですが、水に浸すと膨らんでハンカチ大のタオルになるというものです。普通の使い捨てのペーパータオルよりも丈夫なのでとても重宝しました。

コンパクトタオル

療養開始  健康観察のツール(ePRO)

今回、健康観察のツールとして2種類のツールを使用することになりました。

一つ目は、東京都の提供する「My HER-SYS」です。こちらは陽性者登録をするとショートメッセージでIDが送られてくるのでメールアドレスで登録して使用します。

もう一つは療養先のホテルで使用した「LAVITA」というシステムでした。

どちらも、体温、パルスオキシメーターによる酸素飽和度(SpO2)の他に、咳、倦怠感、食欲などの問診を入力して報告するものです。

このように患者が自身の状態を電子的に医療機関などに報告するシステムは、ePRO (イープロ: Electronic patient-reported outcome)と呼ばれています。

現在、私がMICINで開発しているMedBridgeにも患者さんの体温や血圧などのバイタルデータを収集するePROの機能が備わっています。

患者さんは、朝と夜など決まった時間に体温などのデータと、体調などに関する幾つかの設問に回答することでデータを収集し治療に役立てることができます。

例えばMedBridgeで同じような入力画面を作ってみると以下のような画面になります。

MedBridgeの画面

普段自分で開発しているePROの機能ですが、実際に自分で使用してみて、それぞれのアプリが工夫している点をいくつあげてみたいと思いいます。

  • 決まった時間にデータを入れるためのアラート機能の工夫

    • ホテルの療養中は、館内放送が入るので忘れることはありませんでした

    • 「My HER-SYS」は、携帯のショートメッセージによる通知があります

    • 「MedBridge」では、アプリのPush Notification機能があります

  • 体重や血圧など標準的な値がある場合には範囲外の値を入れられないようにする工夫

    • 「LAVITA」や「My HER-SYS」では範囲外の値を入れられないように選択肢をプルダウンにする方式でした

    • 「MedBridge」では、範囲外の値を入れた時には警告を表示する機能があります

  • データをグラフなどで、みやすく表示する工夫

    • 「LAVITA」では、一つのグラフの中に体温やSpO2を表示し、標準範囲の色付けなど見やすいグラフ表示となっていました。

    • 「MedBridge」では、それぞれの値を別のグラフで見やすく表示することができます

最後に

普段開発している機能を自分自身が使う状況になり、色々な側面で感じることが多くありました。

今回は患者側の機能を経験しましたが、ePROでは医療機関側の操作性も重要な要素になってきます。

特に東京都で提供しているシステムなどでは使用者の母数が大きくなるので、大量のデータをどのように処理していくのかや、多くの患者さんの中から重症化のリスクが高い患者さんをどのように抽出して行くのかなどの機能が重要になってくると思われます。

MICINでは、「医療をもっと身近に簡単に。健康医療データから一人ひとりの生き方に新しい選択肢をつくる。」というMissionを掲げて日々新しいサービスの開発を続けています。今回のように身近で利用されるツールなども開発していますので、もしご興味がある方がいればぜひお問合せください。

では、皆様も健康に気をつけて、良いクリスマスをお迎えください!

明日は、酒井大地さんによる「App Runner で構築する Rails アプリケーション」の話題です。お楽しみに。


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