見出し画像

Glide(NoCode)が社内ツールとして利用可能か試してみる

この記事は MICIN Advent Calendar 2022 の10日目の記事です。
前回は坂本さんのありがとうmacOS Serverでした。

はじめに

こんにちは!MICINの郷田です。

MICINでは、デジタルセラピューティクス事業部でPdMとして「医療現場と協働しながら、治療に取り組む人々にとって有効で、安心して使える診断・治療用アプリを創りとどける」ことをミッションに、ソフトウェア開発の観点からのプロダクト作り・研究・開発など幅広く担当しています。

過去には、Web系のシステム開発会社でエンジニア・PdMを経験した後、医療ドメインの経験がない状態でMICINに2022年の3月にジョインしました。

この記事の前半では、医薬品の開発・医療機器の開発・ソフトウェアの開発など複数の知見が必要となるデジタルセラピューティクス製品の開発における一つの課題と解決策の取り組みを紹介をします。後半では、それらをGlide(NoCodeツール)を使い社内ツール化し、より効果的に課題解決ができる環境をつくれないか試してみた内容を紹介します。

デジタルセラピューティクス(DTx)とは

DTxは日本で明確な定義がまだ固まっていない単語です。業界の関係者は一般的に、「スマートフォンやタブレット端末を活用して、疾患の予防・診断・治療を支援するネイティブアプリ・Webアプリなどのソフトウェア」のことを指して利用する場合が多いです。日本では「治療用アプリ」と呼ばれることもあります。

単語に聞き覚えが無い人が多いと思います。その背景としては、まだグローバルでも製品の事例が少なく、多くの一般消費者の目に触れることが少ない領域であるためです。

そのような馴染みの薄い領域でもあるDTxは、治療などの医療行為に近いソフトウェアであるため、ソフトウェア開発だけの知見だけではDTx製品の開発はできません。そのため、医薬品や医療機器の開発を参考としながらプロダクトを作っていく必要があります。

DTx製品開発を取り巻く環境の例

課題:エンジニアやデザイナーなどの参画ハードルの高さ

プロダクトをつくるにはユーザーの体験やユーザーストーリーを意識した開発も行うため、ソフトウェアに対する要求や要件には医療ドメインの話がでてきます。そのため、エンジニアやデザイナーなどクリエイティブ領域の方々には一定以上のドメイン知識をつけていただく必要があります。

しかし、DTxで扱う医療のスコープは非常に広いことや、一つ一つの領域の理解するための難易度も高いこと、また複数の領域を学習して初めて全体がつかめることから、愚直に一人ずつ勉強していると到底時間が足りません。また、これらをクリエイティブ領域の方が理解するにも非常に難易度が高いです。

解決策:専門用語に簡単にアクセスできるようにする

何から勉強していいかわからない人がDTx領域の概要を掴めるように、まずは用語集をつくることにしました。専門用語がわかるだけでも、医療機関の皆様との会話で出現した単語が何の話をしているかだけでも掴めるため、文脈などコンテキストを理解することに繋がると考えました。また、メンテナンスしながら関係者で用語の意味を揃えることができれば、社内コミュニケーションにおけるロスも減らすことができると考えました。

実際にスプレッドシートに書き出してみてわかったこととして、用語の意味がわからない問題だけではなく、正式名称と略称の関係性がクリエイティブ領域の人にとっては理解が難しい問題であることもわかり、とても価値のある表になりました。

実際に作ってみた用語集の初期案の一部を以下に紹介いたします。

用語集の初期案の一部

新たな課題:想像していた以上に閲覧がしづらい

学習の難易度が高いと紹介させていただいた通り、医療ドメインを知らない人向けに単語・用語を集めるととても行が多くなり、スプレッドシートを共有しただけでは、その人が探したい単語を探すこと・また学習に利用するには煩雑であることもわかってきました。

今後も用語集を運用していくためにも、集約したスプレッドシートの情報を利用したアプリケーションを作れないか考え、Glide(NoCodeツール)を試してみることとしました。

Glideとは

Glide • No Code App Builder • Nocode Application Development

GlideとはNoCodeツールと言われる、プログラミング不要でアプリケーションを構築できるサービスです。

複数のNoCodeツールが有る中でGlideを試してみた背景としては、スプレッドシートとの相性が良かったことや、多くのWebの記事でGlideは簡単であると記載があったことから興味が湧いたためです。

現時点の料金体系として、Free・Starter・Pro・Business・Enterpriseの5つがあるようです。今回はFreeプラン内で試してみているのですが、本格的に運用する場合はプロジェクト数やストレージ容量を増やすためにプランを上げる検討が必要そうでした。企業のサービス基盤としてGlideを利用する場合は、SLAの締結やSSO導入などを考え、Enterpriseプランの検討も必要かと思います。

作成するアプリケーションの性質や、導入する組織のポリシーなどにあわせてプランの検討ができる料金体系になっているかと思います。

Glideを実際に使ってみる

ユーザー登録はGoogleログインを利用しました。初期設定項目もチーム名ぐらいでしたため、即座にユーザー登録が行えました。また、チームを作成したら新しくプロジェクトをつくる導線とテンプレートのサジェストがでてくるので、試してみたいことに直感的にアクセスできるように工夫されているようでした。

今回はNew projectから空の新規アプリを立ち上げます。

新規プロジェクトの作成画面

データソースとして、Glide Table・Google Sheets・Excel・Airtable・ファイルインポートが選べるようでした。今回はGoogleSheetsを選択して、作成した用語集シートを選択しました。

データソースの選択画面

対象のGoogleSheetを選択すると自動でデータが読み込まれ、シートで意図したカラムの行が読み込まれました。一般的にアプリでエクセルなどを読み込むときはカラムの指定などが必要になり手間がかかるものだと思っていたため、自動で判断されてとても良い体験でした。

後は画面を作っていくだけでアプリケーションが作れる状態になっており、ユーザー登録〜プロジェクト作成〜データソース読み込みまで5分程度で実行できました。

データ読み込み直後の画面

この後は自由に画面を触ってみたところ、10分程度で「リスト画面(検索可)」「用語の詳細画面」「用語の修正モーダル」を構築することができました。

また、アプリケーションの公開をする際、デフォルトで「承認されたユーザーのみ」に設定されていたため、意図しないユーザーの利用は気にせず安心して公開できました。

Glideで実際に作成したアプリの紹介

最後に、今回作成を試してみたアプリケーションの各画面を紹介します。

ログイン画面
リスト画面(検索可)
用語の詳細画面

Glideでアプリケーションを構築してみて

Glideを使うことで、エンジニアでなくても色々な用途のアプリケーションを構築できることが学べました。実際に自身でつかってみると、デフォルトで搭載されている検索機能により、データソースの内容全体を絞り込むことができたため、スプレッドシートの検索よりも閲覧性が高いことを実感しました。

また、Glideの登録から最低限の機能を揃えるまでに15分程度で行えたことが非常に好印象です。

触っていくなかで複雑な機能を作り込むことができることもわかり「利用者ごとに自分の単語帳をつくる」など機能拡張のアイデアがいくつかでてきました。利用者の要求にあわせて改修ができるサービスであることは、社内ツールで運用する場合のコスト低減につながるとも感じています。

一方で、今回は実際に関係者に利用してもらうことまではたどり着けていないため、今後は利用してもらった結果を踏まえて課題が解決できているか確認していこうと考えています。

今回はWebで公開されている情報を取りまとめたデータソースを利用しました。Glideは外部サービスであるため、Glideに読み込んで良い情報の管理や公開範囲の設定などは注意が必要です。社内ツールとして導入可能であるかはセキュリティなど観点からも社内関係者に確認が必要であるかと思います。

おわりに

DTxの製品開発における課題解決のために、社内ツールとしてGlideが利用可能か試してみました。

直感的に立ち上げられるUI/UXになっているため、ぜひ皆さんのお手元でも一度試して見ていただければと思います!



MICINではメンバーを大募集しています。
「とりあえず話を聞いてみたい」でも大歓迎ですので、お気軽にご応募ください!
MICIN採用ページ:https://recruit.micin.jp/