横浜市立大学にて第一回「Chat GPT等生成系AIに関する理解を深めるためのFD(ファカルティディベロップメント)」に登壇いたしました
はじめに
衰える気配どころか、むしろ日々勢いを増す生成AIやLLM(大規模言語モデル)ブーム。MICINでもこれまでにMICIN、金沢大学と実施していたChatGPTおよびGPT-4を用いて第117回医師国家試験(2023年2月実施)を解かせる研究において初めて合格点に到達し、その成果を論文としてオンライン公開いたしました というプレスリリースや、京大病院放射線診断科火曜カンファにてChatGPT、LLM、生成AIに関する勉強会を開催させていただきました。といったnote記事を公開いたしました。
そして今回の記事では 横浜市立大学 医学部公衆衛生学 主任教授/大学院データサイエンス研究科ヘルスデータサイエンス専攻 専攻長 後藤 温 先生 にご連絡をいただき登壇させていただいた、2023年9月12日開催の横浜市立大学 第1回 Chat GPT等生成系AIに関する理解を深めるためのFD(※)に関して、当日の様子の概要をお伝えできればと思います。
(※FDとはファカルティディベロップメントの略称で”教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称”です。文部科学省 大学教員のファカルティディベロップメントについて より抜粋)
FDの概要
本FDは横浜市立大学 医学部を中心に全学の先生方を対象に開催され、当日は100名を超える先生方にご参加いただきました。
事前にFDの申し込み数が非常に多いことは大学側の事務局からお伺いしていましたが、実際に当日のZoomで100名を超える先生方が視聴してくれているのを確認した際には驚きました。
また当日は医学研究科長の小川毅彦 先生からも冒頭にご挨拶をいただき、ChatGPTや生成AIに関する横浜市立大学さんの強い関心を感じました。
このFDは前・後半の2部構成で開催されました。
第1部では筆者より、生成AIの総論や主に医学系の教育、研究、臨床現場における利活用について注意すべき点等をご説明しました。
第2部では後藤先生よりハンズオン形式で、論文作成や学部生のレポート作成におけるChatGPTの活用と留意点について、デモンストレーションと参加者による実践を実施していただきました。
筆者が担当した第1部は以下のようなアジェンダで講演しました。
後藤先生からは以下のような内容で第2部ハンズオンセミナーを開催いただきました。
(※なお本資料は後藤先生からの許諾をいただき掲載しています。)
FDの第1部
今回の登壇では大学の先生方向けのFDということで、以下の観点を重視して講演を実施いたしました。
ChatGPTや生成AIについて、あくまでライトユーザー目線で見た時にどのようなものなのか?を分かりやすく説明する。
日々アップデートが激しいChatGPTについて、その最新機能やできることを共有する。
ChatGPTや生成AIが特に大学などの高等教育に及ぼす影響と、国内外問わず様々な大学の取り組み事例を紹介する。
ChatGPTや生成AIが引き起こしうる格差や課題について説明し、教育において不平等が発生しないために検討すべき論点を提示する。
以前開催した京大病院放射線診断科火曜カンファにてChatGPT、LLM、生成AIに関する勉強会を開催させていただきました。 ではChatGPTや生成AIに関する技術的な観点や臨床での応用について詳しくご説明しましたが、今回はFDということもありまた違った毛色の内容でご説明いたしました。
以下に今回の登壇で参考にした記事のURLを掲載します。
①ChatGPTや生成AIの精度・性能に関して注意すべき点
②特にChatGPTに関して最新状況をキャッチアップする際に参考にしたOpenAI公式のプレスリリース
③教育現場におけるChatGPTや生成AIの影響
東京大学;生成系AI(ChatGPT, BingAI, Bard, Midjourney, Stable Diffusion等)について
University of Cambridge;ChatGPT(We need to talk)
Stanford faculty weigh in on ChatGPT's shake-up in education
④ChatGPTなどの生成AIが引き起こしうる格差の問題
※以下の画像は筆者がChatGPT(GPT-4)を用いて整理した論点です。内容についてはハルシネーションなどを確認済み。
第1部の最後に設定されていた質疑応答では多くの先生方からご質問をいただきました。
これらのQAセッションでも先生方からのChatGPTや生成AIに関する高い関心を感じつつ、教育現場における舵取りの難しさを実感いたしました。
FDの第2部
こちらのパートの詳細については割愛しますが、後藤先生からハンズオン形式でChatGPTの利活用についてご説明がありました。
第2部の詳細についてご関心ある方は私達までお問い合わせいただくか(https://micin.jp/contact)、後藤先生にご連絡いただけると幸いです(https://forms.office.com/r/pQnSvZZuYJ)。
ChatGPTや生成AIに関して、実際の教育現場の先生方がどのようにこれらの技術を捉えていて、また学生たちに対してどのような点で課題感を感じているのかを肌感覚を持って具体的に知ることができた点が個人的にも非常に有意義な時間となりました。
最後に
私達のような企業でAIに取り組む人達は、実際の製品・サービスにこれらの新規技術をどのように組み込んだ上で、いかにしてユーザーにそれらの製品・サービスを好きになっていただき、そしてビジネスとしてしっかりお金を稼ぐのか?という点を重視します。
一方で教育現場ではそれらの技術がどのように研究に活かすことができ、そして学生たちの成長に繋げることができるのか?について重視されていました。
このように一つの技術に対して複数の観点、立場からアプローチすることの大切さを今回のFD登壇を通して私自身も再認識することができました。
特に最近は「責任あるAI(Responsible AI)」という言葉が非常に重要になってきています。
私達MICIN データソリューション部 は引き続き、医療に携わるあらゆるステークホルダーの方々に対する責任を重視し、「責任あるAI(Responsible AI)」という原則に則り最新技術の臨床現場への活用についてさらなる研究や開発を進めて参ります。
備考;本ブログ、研究内容、FDに関してご相談事項などがある方は以下からご連絡ください。
https://micin.jp/contact