【MICINのひと】救急医療の現場から規制当局、民間へと活躍の場を広げる医師
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【MICINのひと】救急医療の現場から規制当局、民間へと活躍の場を広げる医師

【MICINのひと】は、「MICINという組織の性格」を知っていただくために、ここで働くメンバーを一人ひとり紐解いていく連載です。

8人目は、医療の観点・規制の観点からMICINのプロダクト作りに貢献しているこの人。

桐山 瑶子 Yoko Kiriyama
RAスペシャリスト。国立国際医療研究センターで5年間医師として働いた後、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療機器審査部で医療機器の審査や開発支援に携わり、2019年にMICINへ入社。医療従事者・規制当局での業務経験者として社内の事業に横断的に携わるほか、Digital Health Timesのエディターとしても情報発信を行っている。

医師資格を持ちつつMICINに飛び込んだ彼女の役割や、医師としてのキャリア選択について話を聞きました。

悩みながらのキャリア選択

小児科医だった父が癌と告知されたのは、私が中学2年生の時でした。それから2年弱の闘病の末、中学の卒業式の直前に父は他界しました。自分の余命以上に子どもの成長を見届けることができないことを悔しがりながら病気と向き合う父を見ているのは辛かったし、家族として「なんで気付いてあげられなかったんだろう」と感じてもいました。忙しかった父は医師なのに自分の健康と向き合えていなかったし、家族も父の不調に気づけなかったんです。

父のように忙しさから自分の健康を疎かにしてしまう医師は少なくないでしょうし、これは個人だけの問題ではないはずで、では何が問題なのかなあと。学生時代の私は「医師になる」よりも「医師にとっても無理のない社会ってどんな社会?」を漠然と考えていたような気がします。

今や当たり前のものになっていますが、電子カルテの導入が日本で本格的に始まったのは私が学生の頃で、様々な情報が病院内で共有できることにすごく可能性を感じたのを覚えています。将来的には、院内だけでなく、院外、地域と情報が共有される社会が来るのだろう、それは患者にとっても医療提供者にとっても良いことのはずで、今後の医療は「医療×情報」を一つの鍵として変わっていくのではないかと思いながら、今に至ります。

大学を卒業して最初の5年間は臨床医として働きました。後半3年は年間一万件以上の患者さんが救急搬送されてくる救命救急センターでの勤務で、毎日を乗り切るのに必死でしたが、かけがえのない経験をさせてもらいました。当時お世話になった先生方にはいまだに足を向けて寝られませんね。救命センターでの勤務を選んだのは、急性期という偏りはあるけれども、幅広く患者さんを診られること、救急外来には様々な社会課題が集まっていると研修医時代に感じていたことなどがあります。

働いている中で課題だなと思ったことの一つはやはり、情報の共有。例えば、患者さんが救急車で運ばれてきても、病歴がわからない。他院のかかりつけ患者さんだとわかって、その病院に情報が欲しいと電話しても、「FAXで依頼状をください」と言われる。そんなことが日常茶飯事で、1分1秒が惜しいはずの救急現場での非効率さを感じながら、日々勤務にあたっていたのを覚えています。

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(桐山さんが臨床医の頃の写真)

その後ご縁があり厚生労働省の管軸であるPMDAに。在職中に薬機法が改正され、医療機器にプログラム(Software as a Medical Device、SaMD)が含まれるようになって、まさに「医療×情報」を具現化した製品に関われたのは嬉しかったですね。
デジタルヘルスという言葉が世間で使われ始めたのも同じ頃で、「こんなSaMDを作りたいんです」という相談が増えたのですが、ニーズや制度を十分に理解しないまま開発すると、せっかく作ったものが社会で使えなかったり、一から開発し直しになったり。そんな様子を見てきて、この領域に制度や開発のことを知っている人がもっと増えないとダメだ!と思ったのと同時に、自分も作る側に行きたいなと思うようになって、民間企業のMICINに加わりました。

「民間企業が医療のためにできること」を後押ししていきたい

MICINでの私の役割は大きく2つ。一つは、社内のプロジェクトが特に薬機法の観点から問題がないか、社会実装していく上で、どのようなスケジュールで何を進めていくべきかを、開発チームとコミュニケーションを取っていくことです。

ビジネスとしてやりたいこと、医療現場で求められていること、ルール上可能なことが合致しないケースはしばしばあります。社内にいるプロダクト開発のプロフェッショナルたちと、ルールの中でスピード感を持って進めていくためには相談しながら進めていく必要があります。医師としての意見を求められることもあるので、その立場でディスカッションに入ることもあります。

もう一つは、新しい技術やサービスを医療の現場に届けていくにあたって、企業だけでは解決が難しいようなルール上の課題があると考えられる場合、社外の方達とも議論しながらそれを発信していくこと。

医療の世界には様々なルールがあるので、新しい技術やサービスを出す上でもそのルールの中でやる必要があります。一方で、デジタルヘルスのようにアップデートがはやい領域では、既存のルールでは解釈できないものも出てきます。
そこで民間の立場から、「新しい技術・サービスを世の中に送り出すにあたって、今の制度下だとここが難しい」「こういう解決策はないか」と、様々な分野の専門家にご意見を伺いながら、行政や業界の方たちへ情報提供しています。緩和ばかりを求めているわけではなく、逆に「もっと厳格なルールが必要」という話をすることもあります。

ルールを守りながらプロダクトを生み出していくことと、業界としての課題共有、課題解決のためにルール自体のアップデートを民間サイドから促していくムーブメントを作っていくこと。どちらもすごく大事だと思っています。

大きな業界は業界団体がしっかりしているのですが、ベンチャーが挑戦するような新しい領域の課題の場合、その声が社会や行政に届きづらいこともあり、声を届けることそのものが重要になることもあります。声を上げればそれだけご批判をいただくこともありますが、何かを形成していく上ですべての人が最初から賛成するようなことは稀なのですから、まずは発信していきたい。

その上で、数多くある社会課題に優先順位をつけて方向性を決定していくのは行政の役割ですが、その決定プロセスの上で課題として拾い上げてもらうための努力はこちらがしなければ何も始まらない。逆に、その過程で我々のような新参者には馴染みのないルールも多々出てきますので、その成り立ちの理解を深め、学んでいくこともまた必要です。

MICINの良いところは、行政を含めた様々なステークホルダーにアプローチし続けていること。時には、各所からお叱りを受けることもありますが、新しい取り組みはコンパクトな企業体だからこそできる場合もありますし、それが成功することも失敗することもあります。でもそれを腹を括って進めていくことを大事にしている会社だと思いますし、失敗を恐れない懐の広さがこの会社にはあるのだと思います。

懐の広さといえば、最近だと、コロナワクチン接種時の特別休暇制度導入もその良い例ですね。

不定期ですが今も臨床に携わっているので、ワクチンの先行接種対象者だったのですが、代表の原さんや人事の高久さんに「接種翌日は副反応が出る可能性があるので休暇申請をしたい」と相談したところ、すぐに特別休暇制度の設定を進めてくれました。

会社として必要だと思えばすぐに対応する柔軟な姿勢は素晴らしいなと思いました。

医療の可能性を広げていく、医師としての新たなキャリアパス

「すべての人が、納得して生きて、最期を迎えられる世界を。」というMICINのビジョンは、共感を得られることも多い一方で、その実現には途方もない難しさもあります。

そもそも、医療に関する規制が厳しいのは、それだけ「守るべきもの」があるから。人の命を預かるという前提があり、厳格な資格制度があり、治療の過程でもしものことがあったら国が補償する制度だってある。産業という観点では保守的・保護的な土壌の中で、新しいことをやるのはチャレンジングであるのも事実です。

例えば、今、オンライン診療はMICINの主軸サービスの一つで、「やりたい」と言ってくださる方々も増えていますが、まだまだ国内では新しく認知度も低い領域なのでご批判をいただくこともあれば、様子を見ている人も多いです。当たり前ですが、医療の全てをオンライン化できるわけはないし、「オンライン診療でできること」の認識のギャップも患者と医療提供者の間にあります。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響で、医療のオンライン化を一部余儀なくされ、ようやっと、これはオンラインでできる、これはできない、という議論が本格的になってきたと感じています。

患者にとっても医療提供者にとっても、「できる時にオンライン診療という選択肢がある」ことが当たり前になるように、民間側からできることをやっていきたいですね。ただ、オンライン診療は「医療×情報」の入口に過ぎないと個人的には思っていて。オンライン診療からつながる「医療×情報」の世界として、SaMDを含めたMICINの新しいデジタル医療サービスを世の中に出していくことに関わり続けたいなというのが私の思いです。

また、医師のキャリアパスとして、私のような道があることも知ってもらえたらいいなと思っています。先日、母校の学生さんたちに講義をする機会があって、「キャリアパスについても話して」と言われました。せっかくなので、いろんな人のキャリアパスを紹介をしたいと思い、久しぶりに同級生や先輩、後輩と話をしましたが、みんな様々なことを考えて悩みながらキャリア選択をしています。
臨床を突き詰める人もいれば、研究に没頭する人もいる。国内外問わず行政や民間企業に行ったり、NPOなどで社会活動をする人もいる。医師のキャリア選択は広がってきています。未来ある学生さんたちには、皆さんの将来は多様であることをぜひ知って欲しいです。

もちろん医療従事者に限らず、MICINには医療に真剣な仲間が集まっています。やりたいこととビジョンがマッチしていれば一緒に走っていける組織なので、今後も医療業界をよりよくしたいと思う方がチームに増えていくことを願っています。

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