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【MICINのひと】医療データを安全に利活用するデータ基盤を構築し、ビジネスを加速させるデータエンジニア

【MICINのひと】は、「MICINという組織の性格」を知っていただくために、ここで働くメンバーを一人ひとり紐解いていく連載です。

今回は、MICIN初となる専任のデータエンジニアとしてジョインし、データ基盤構築プロジェクトを推進してきたこの人。

菅井友之 Tomoyuki Sugai
ソフトウェア開発のバックエンドエンジニアとして約10年のキャリアを経験した後、コンサルティング企業のデータエンジニアへとキャリアチェンジ。2022年9月にMICINに入社し、社内初となるデータ基盤構築のプロジェクトを推進。2023年上半期MICIN AWARDでMVPを受賞した。

「厳しい管理が必要な医療データを守りながら、社内のメンバーが効率よく抽出できる環境を作る」という高度なデータ基盤の構築にチャレンジする裏側をお聞きしました。


業務改善は通過点。「期待値の大きさ」で受賞したと捉えているMVP

少し前には「ビッグデータ」という言葉が世間で囁かれるようになり、データ基盤はあらゆる場面で活用されています。そんな中でデータエンジニアとしてMICINへの入社を決めたのは、自分の暮らしにも身近な医療という分野に貢献できる仕事だと思ったからです。

とはいえ、当時のMICINは事業部がそれぞれにデータを管理している状態。専任のデータエンジニアとして入社したのは、私が初めてでした。そこからスタートしたのが、現在も進行中のデータ基盤構築プロジェクトです。

これは、「社内の誰もが解析に必要なデータを効率よく取り出せる環境」を構築するための取り組み。逆に言えば、それまでは事業部によっては各プロダクトのエンジニアに依頼しなければ必要なデータを抽出することができず、工数がかかってしまっていました。

そこで、社内のデータを網羅した全社基盤の構築をめざして、まずは『MedBrige』というサービスを運用するデジタルセラピューティクス事業部のデータ基盤構築に着手。医療データの利活用やビジネス判断の精度向上に貢献できたことが評価され、2023年上半期のMVPまでいただいたのですが、正直、身に余る受賞だなと思っていて。「今後への期待値」という、ある種のプレッシャーも感じています。

データ基盤の構築は息の長いプロジェクトですし、MICINのバリューを達成するためには、もっともっとやるべきことがあります。

「量」より「質」。“要配慮個人情報”を扱うMICIN独自のデータ管理

医療のデータには、私自身がこれまで扱ってきた個人情報より、何段階も強い規制がかかっています。MICIN社内ではどのメンバーも聞き慣れた“要配慮個人情報”という言葉があるのですが、これは「特に配慮を要するものとし政令で定める記述等が含まれる個人情報」のこと。

だからこそ、社内のリーガルチームや情報セキュリティ部とも密にコミュニケーションを取りながらプロジェクトを推進していく必要があります。

また、MICINが取り扱うデータは、患者さんの詳細な問診票や治験の記録がベースになっていたり、希少疾患を持つ方のものでデータ自体が貴重であったりと、「量の多さ」ではなく「質の高さ」が重要です。一方で、データエンジニアは本来、膨大なデータが集まる組織で求められる場合がほとんど。そういう意味では、MICINだからこそ求められるデータ基盤の構築にチャレンジしているのが今、とも言えますね。

私個人として仕事をする上で大事にしたいのは、そのデータを使う人が何に困っているのかをしっかりと聞き出して、お悩みを解消するのを最優先にすることです。「自分としてはこういうデータ基盤を作りたい」という思いはもちろんあるけれど、それは二の次でいいと思っています。

ただ、「使う人」の困りごとを掘り下げる過程において、前提として「サービス(プロダクト)のためのデータベースの設計と、利活用のためのデータベースの設計は違って当たり前」ということがあります。それは、サービス(プロダクト)のためのデータベースの設計と、利活用のためのデータベースの設計では関心事が全く異なるからです。ですので、サービスのデータベースから、利活用のためのデータベースに変換するという仕組みが、実はデータ基盤の中心だったりします。この辺りは、サービス開発のスピード感や開発時の状況なども理解しながら、丁寧に進めて行っています。

自分自身が「医療のデータ基盤をやっている」と胸を張って言えるのは、もう少し先

「医療分野のエンジニア」というとお堅いイメージがあるかもしれませんが、MICINに入社して約一年が過ぎた今すごく感じているのは、意欲的な若手も多く、新しいことを積極的に取り入れていく社風であるということ。

個々のエンジニアごとに得意な技術があると思いますが、MICINではどの領域でも活躍できる場があります。

中でも現在のデータ基盤構築プロジェクトは、専任の私と兼務のプロダクトマネージャー、そして時と場合によって横断的に社内のメンバーと関わる形で進めています。でも今後を考えると、より組織的にプロジェクトを運用していけるよう、メンバーがもっと必要。

個人的に目指しているのは、向こう2、3年で少なくとも全ての事業部のデータが基盤につながっている状態を構築し、もっと理想を言えば、事業部を跨いだデータの利活用が自然にできている状態を作ること。そうすれば、MICINの経営判断に大きく貢献できるはずです。

そうなって初めて、「医療分野で難易度の高いデータ基盤をやっている」と胸を張って言えるんじゃないかと思っています。