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医療の理想像を描き続ける、MICINのデジタルセラピューティクス事業とは:前編

テクノロジーによってこれまでの医療を変えるポテンシャルを秘めた「デジタルセラピューティクス」という分野をご存じでしょうか?

MICINのデジタルセラピューティクス事業部(以下、DTx事業部)は、このデジタルセラピューティクスの開発を推進する日本でも数少ない精鋭が集まったチームです。
とはいえ、専門性の高いこの分野を理解するには、なかなかハードルを感じるかもしれません。

そこで今回は、DTx事業部の部長をしている花舘さんに

「デジタルセラピューティクスとは?」
「具体的にどんなことをするの?」
「MICINが実現したいことは?」

などなど、気になるトピックについてお話ししてもらいました。

MICINのビジョン「すべての人が、納得して生きて、最期を迎えられる世界を。」を実現すべく、理想の医療を追求しようと力を注ぐ現場について、少しでも理解を深めてもらえると嬉しいです。

花舘さん
アステラス製薬株式会社を経てMICINに参画。アステラス製薬では、複数疾患領域にて創薬研究に従事した後、予防、診断からデジタルセラピューティクスなどの新規事業開発やアライアンスマネジメントに携わり、複数事業をリードした。東北大学大学院農学博士。

デジタルセラピューティクスとは、そもそもどんなものか

デジタルセラピューティクスとは、医師が患者さんに治療のために処方したり、治療生活の指導介入したりして使っていくソフトウェアプログラムをつかった製品や技術の総称です。例えばスマホで使うアプリや、そのアプリと医療機器を連携させて使うサービスなどのこと。特徴として効果や安全性がちゃんと検証されていて、テクノロジーを使って、より効果的で効率的な医療体験を実現するための先端技術がデジタルセラピューティクスです。
MICINでは適切なタイミングで適切な治療介入を行うアプリや治療生活を支援するアプリを提供しています。

日本におけるデジタルセラピューティクスの現状や課題

日本に比べてアメリカやヨーロッパの方が進んでいるのは事実です。それらの国では、すでにデジタルセラピューティクスの製品が増えていて、実際に患者さんに使われてもいます。トピックとしては、昨年アメリカで初めて公的保険の保険診療の中でもデジタルセラピューティクスが使えるようになりました。

一方の日本ではいくつか違いがあります。まだまだデジタルセラピューティクスに携わる企業はすごく限られていて、製品も国内では数個しか存在していないのが現状です。

さらに、デジタルセラピューティクスの製品を作っていくためには国からの承認が必要なのですが、そのための国側のルール整備も完全には整っておらず、海外に遅れをとっているところです。

デジタルセラピューティクスの分野でMICINが取り組んでいること

MICINの中では以下の2つの取り組みを行なっています。
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1、治療用アプリの開発
2、治療生活支援システム「MedBridge(メドブリッジ)」の提供
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アプリを使うだけで病気を治すことにつながるような「治療用アプリ」の開発のほか、治療生活を支援する「MedBridge(メドブリッジ)」というサービスを出しています。また、これらのサービスを通じて蓄積されるデータを解析し、医療に役立つデータを提供したり、新たな病気の予測モデルを作ることも行なっています。

デジタルセラピューティクスに携わる中での大変さややりがい

やはり世の中でも開拓途中の領域なので、最適なやり方が見えていない状態の中を、手探りでやっていかなければならないことが多いです。自分たちで考えたり他に類似する事例を探ったりしながら、トライアンドエラーでやっていくという大変さもあります。

でも、こうして開拓していくからこそ、すごくエキサイティングに仕事ができるのがやりがいでもあります。手探りの中で一番良いと思われる道を見つけ出し、合理的に説明をつけられるように考えていくのは簡単ではないのですが、これができると「やった!」と嬉しいですね。また一つ開拓できたなと思うし、我々のノウハウにもなっていくのかなと。

大変な反面、世の中に無い価値を提供できる

そうですね。今あるものを便利にしていくのと、まだ無い理想を世界に持ち込んでいくのって大きな違いがあると思うんです。なぜなら今あるものは今の社会に最適化されているので、一番良く感じるのは当然なんです。そこに革新的なものを持ち込んだら、どうしても仕事のやり方を変えなければならないので一時的に不便になる。そのやり方まで考えつくして共感してもらうのが難しいところです。

好奇心を持って下さる方や本当に必要としている方たちにもっと共感してもらえるよう、まだまだ挑戦している最中ですが、我々自身がやりたいことでもあるので、ワクワクしながら取り組んでいます。

MICINがデジタルセラピューティクスで実現したいこと

患者さんがもっと適切なタイミングで適切な治療が受けられるようにしたいと思っています。

今の医療って、病院に行って診察を受けて、一か月後また診察室に行って…といった「タイミングありき」の治療になっていると思うのですが、患者さん自身が診察室に行ったときに一番治療を受けたいコンディションなのかというと、そうじゃないこともたくさんありますよね。

デジタルセラピューティクスによって適切なタイミングで適切な治療ができることで、きっと今までよりも高い治療効果が届けられるんじゃないかなと。

「原因に対する治療や、症状に対処する治療だけではなくて、生活まで含めて治療と捉えて、患者さんが「納得して生きる」ということをゴールに治療をご提供できたら、我々にとってこれ以上ないというか。MICINのデジタルセラピューティクスでそれを成し遂げたいなと思っています。

今までは薬を飲んでもなかなか良くならなかった患者さんも新しいメカニズムで生活の仕方も含めて治療することができ、これまで治らなかった患者さんが治り、より豊かな人生を送っていただける。そんな世界を作っていきたいと思います。

後編の記事では、MICINではどんなメンバーが集まりどう解決しようとしているのかお伝えしていきたいと思います。お楽しみに!