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新米PdMの成長日誌

この記事は MICIN Advent Calendar 2022 の8日目の記事です。
前回は小林さんのMICINに入社して見つけたプロダクト開発の最初の一歩でした。

はじめに

おはようございます。MICINの草間です。2015年にMICINを創業して以来、様々なプロダクトに関わってきました。今回は、その中でもMiROHAという治験のデジタル化をすすめるVertical SaaSの事業に関わっている中で感じた「事業責任者が持っているべきProduct Manager」の素養についてお話します。

まず、私の自己紹介から。

MICINを創業する以前はコンサルティングファームに勤めていました。当時の仕事は戦略の立案・実行が主で、お恥ずかしながらプロダクトの「プ」の字に触れたことも有りませんでした。ちなみに、私が卒業した後くらいからは、コンサルティングファームもデザイン会社を買収するなどで、サービスの範囲を広げているみたいですね(リンク)。

一番はじめに立ち上げたプロダクトは、オンライン診療サービスcuronです。2015年ごろは、Product Managerに求められる要件もあまり体系化されていなかった印象です(私が無知だっただけかもしれません(笑))。PMトライアングルが記事になり始めたのも2017年ごろからでしょうか。当時、この馬田さんの記事にはお世話になりました。

創業時に借りていた取り壊し予定のアパートの一室で、壁一面にホワイトボードペーパーを貼って、エンジニアのみなさんと議論していたサービス構成図?の名残が、懐かしい。真冬も隙間風だらけだったので、前に座っている我らが原さんも室内でマフラーして仕事しており、寒そうですね。

原さん

そこから時を経て、あらためて今、私が関わっているのがMiROHAという治験の領域をターゲットにしたVertical SaaSのプロダクトです。こちらの詳細は、別のNoteにまとめましたのでご関心ある方は、御覧ください。

治験を変革するMiROHAとは

新しいプロダクトを立ち上げるに際し、2015年の創業当時とは比べ物にならないほど体系化されたProduct Managerのスキルセットが世の中に公開されていました。私自身はまだまだ途上ではありますが、どのような経緯があったのか振り返ってみます。

まずは課題認識から

振り返ると、一番苦労したのが「そもそも事業責任者としてどこまでProduct Managerのスキルセットを身に着けておくべきなのか」という課題認識を持つところでした。私のように、事業会社の経験もなくプロダクトマネジメント経験もなく起業した方にとっては、案外つまづくポイントかもしれません。

体制としては事業オーナーとして私が全方位に目配りをしつつ、業務委託で助けてくださっているPdMの方と、二人三脚で進める必要がありました。その前提で、日々たくさんの緊急度の高いタスクに追われる中で、私自身がどうプロダクト関連の「緊急ではないように見えるかもしれないが(実は緊急で)かつ、重要なこと」に時間を配分するのか、悩みました。

「事業とプロダクトは裏表なので、プロダクトのことがわからないと事業成長は実現できない」。分かっている人には当たり前なのですが。私自身の反省として、ここに気づくのに時間がかかってしまいました。

きっかけとなったのは、チームの方からのフィードバックでした。

「草間さんの好きなサッカーに例えてお話します。事業責任者/Product Managerは監督にならないといけない。フィールドに出ている選手たち(エンジニアたち)が、それぞれの得意を活かし、試合に勝てるようゲームプランを設計する。目指すべきビジョンをチームに浸透させる。今の草間さんのプロダクトへの関わり方は、試合をスタンドから見ている観客ですよ。観客でも試合にコメントすることはできる。でも、それだけでは試合に勝てないですよね。」

ぐさっと響いた言葉でした。。。

サッカーワールドカップをご覧になり、ドイツに勝利した後でコスタリカに敗北した際に、手のひらを返したかのように、特定の選手や監督を攻撃するような「観客の視点から」の記事やSNSのコメントを見て、違和感を覚えた方も少なくないと思います。

わたしは、観客ではなく監督になり、選手であるエンジニアたちと一緒に、事業とプロダクトを進化させたい。ここが、一番のターニングポイントだったと感じています。

全体像の把握へ

思い立ったが吉日で、どのようなスキルセットが必要になるのか、まずは全体像を把握しようとしました。参考書の読む順番を教えていただいた読書地図の記事や、おすすめ本の記事などなどに10本くらい目を通し、2-3箇所で挙げられている本は必読だな、と認識してすぐにKindle版を注文しました。

どの本を読めばよいかは、他の記事などにおまかせしますが、10冊くらい読むと、ある程度の土地勘を持てるようになったな、という実感を持てました。特に、今のMiROHAのプロダクト開発プロセスにおいて、何が課題なのかを意識しながら、情報を収集していったことが効率的でした。

読んだ本でいうと、このあたりですかね。

  • プロダクトマネジメントの全て

  • INSPIRED 熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント

  • エンジニアリング組織論への招待

  • ソフトウェアファースト

  • カイゼン・ジャーニー

  • アジャイルサムライ

  • ノンデザイナーズ・デザインブック

  • 誰のためのデザイン

  • プロダクト・レッド・グロース

  • ラディカルプロダクトシンキング

  • ユーザ中心ウェブビジネス戦略

よく言われることですが、プロダクトビジョンの作り込みが甘く、チームとして同じベクトルを作れていないという現状を改めて認識し、まずはインセプションデッキに記載あるアイテムを順次作っていきました。守破離という言葉にあるとおり、まずは愚直に型に従って進めていきました。

得た知識の実践まで

本を読むと知識としては習得できますが、そこから実践できるようになるまでには繰り返しのトレーニングが必要です。

MiROHAのプロダクトチームではスクラムで開発を進めています。その中では、1週間のスプリントを振り返るレトロスペクティブの時間があります。エンジニア観点だけでなくProduct Manager観点でもチームで振り返りを行い、PDCAを回していくことで週次でチームが進化していることを感じています。皆さん率直に事実に対してフィードバックをくださるので、出来ていないところ、改善の方向性がどんどん見えてくるのは気持ち良いです。

余談ですが、振り返りにはKPTという枠組みを用いています。お恥ずかしながら、最初は振り返り時にKeep、Problem、Try全てを出し切った上で議論していました。改めて勉強すると、KeepとProblemを事前に出した上で、Tryについて皆で議論するのが本来の使い方、とのこと。上辺だけの理解で物事を始めるのではなく、基本の型に戻るのが大事だなと、改めて反省した時もありました。

優秀なチームに揉まれながらも、社内の他チームのエキスパートの力を借り、レベルアップさせることもやってみました。他のプロダクトを担当していたPdMの酒井さん(紹介記事)などにミーティングに入っていただき、インプットしてもらえたことは、大きなショートカットになりました。もし社内にシニアなPdMがいない組織であれば、一時的に社外のシニアPdMの方にサポートをお願いすることも選択肢になるかもしれません。

最後に

ある意味で一人のPdMとしてチームに関わることで、(現在進行系に)私自身の事業責任者としての視点も広げることが出来ていると感じています。そしてこの数年でプロダクトマネジメント関連の知識が大きく体系化されていることに感銘を受けました。

とはいえ、まだまだMiROHAチームは発展途上です。ここまで読んでお察しになられた方もいらっしゃるかもしれませんが、MiROHAチームのプロダクトマネジメントは私と業務委託のProductManagerの2人で推進してます。コロナ後の世界を見据えて市場とユーザーが大きく伸びはじめてきている中で、2023年は一気に加速させていく予定です。「デジタルで臨床開発をもっと簡単に、もっと身近に」をミッションに掲げ、複雑な治験業務プロセスを紐解き圧倒的に効率的なオペレーションを実現していきます!

明日は、坂本さんによる「ありがとうmacOS Server」です。お楽しみに。


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