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医療におけるプロダクトづくりのチャレンジあるある

この記事は MICIN Advent Calendar 2022 の13日目の記事です。
前回は佐藤さんの治験領域でスクラム開発を8ヶ月やってみて直面した3つの課題と解決策をエンジニア視点で述べてみるでした

はじめに

こんにちは、MICIN代表の原です。
我々はオンライン診療やデジタルセラピューティクス、治験¹など、医療にフォーカスしてプロダクトを世に出し続けてきています。

でも、医療と聞くと、難しい、動きも遅いし、プロダクトをつくってもなかなかユーザーに届かない、、なんて思っていませんか?

そんなことはないです、と言いたいところですが、実際はそういうこともあります。

いえ、むしろ、わりとよくあるかもしれません。

今日は、そんな医療分野でのプロダクトづくりで直面するチャレンジあるあると、MICINではそれらにどう向き合っているかについて触れたいと思います。

医療従事者にいかに届け、使ってもらうか

一つ目は、医療従事者にいかに早くプロダクトを使ってもらうか、プロダクトを改善していくか、のチャレンジです。

しばしば直面するコンフリクトにおける一方の主張は、「プロダクトは、仮に不完全でもとにかく早く世に出して、使ってもらう。フィードバックをもらって改善を重ねていくべき」。これはプロダクトづくりの視点では誰も異論のない視点です。

もう一方の主張は、「医療機関向けのプロダクトは、医療者が使うので完成度の高いものじゃないと提案できない。人の命を扱う場面で、何か不具合があってはいけない」これも、医療者向けにプロダクトを提供してきている方たちからすると違和感のない視点ではないでしょうか。

これらの視点においては、どちらかが正しい、ということではなく、どちらも両立させるにはどうしていったら良いか、それを考え続けながらプロダクトづくりを進めていくチャレンジがあります。

制度との戦い

二つ目は、制度に関わるチャレンジです。

医療分野においては、先ほどの「とにかく世に早く出して、使ってもらう」がそもそもしにくい領域もあります。我々の取り組んでいる、デジタルセラピューティクスがまさにこれに当たるもので、薬と同じように診断・治療に関わるプロダクトであるため、きちんとしたエビデンス²を作った上で、政府機関に承認される、というプロセスが制度上求められています。

デジタルセラピューティクスの確立した定義はないですが、簡単に言うと「診断・治療などの医療行為を実現するソフトウェア」であり、近年では日本でも禁煙や高血圧を治療するアプリなどが承認されてきています。このように、診断や治療に関わるプロダクトなので、確かに、安全性や有効性が確認されていない段階で、使ってもらうことに制約があることも合理性があります。

ただ、薬やハードウェアの医療機器では、長い期間をかけてエビデンス²を積んでから世に出して使われるようになりますが、ソフトウェアにシンプルに同じ制度をあてはめると、使われて随時性能が向上していく、という強みを活かすことが出来ません。

これも、医療におけるプロダクトづくりのチャレンジの一つです。

それでも医療でプロダクトを作りたい

このような話を読んでいると、「やっぱり医療の分野でプロダクト作るのは大変だな。。」と思われる方もいるかもしれません。こんなチャレンジの中で、日々、プロダクトづくりに邁進しているエンジニアやプロダクトマネジャー、デザイナーやQAメンバーなどの皆には本当に感謝の思いしかありません。

ただ、一方で、医療だからこその面白さ、やりがいもあります。

どんな分野においても、プロダクトがもたらす価値は、様々にあると思います。自分の好きなものが見つかる、美味しいものが食べられる、仕事が見つかる、知らなかったことを知ることができる、どんな領域でも価値あるから使われ、広がっていきます。

そんな中で、医療にユニークな点があるとすると、使ってもらった方の、健康に関わること、時として、その人の人生を変えるようなことが起こることです。

例えば、我々の取り組んでいるオンライン診療のプロダクトを使っていただいた患者さんのエピソードで、以下のような話がありました。

その方は、ある難病の患者さんで、これまで病院にかかっていても、何年もなかなか症状が改善しなかったそうです。そんな時、我々のオンライン診療を使っていただき、たまたまその方の病気の専門性が高い医師に巡り合えたため、適切な治療を受けることができるようになり、症状もずっと改善したとのことでした。プロダクトを通じて、こんなにも人の健康に、人生に大きな影響をもたらすことのできる領域が他にあるでしょうか。

人は誰しもどこかで何かの病気に直面します。その時に、自分が、あるいは自分の大切な人が、自分の作ったプロダクトによって救われた。そんなことがあるかもしれません。これほどの価値を産む領域であれば、今日ご紹介したあるあるなチャレンジも、乗り越えていくやりがいにしか感じられないですね。難しいからこそ、解決して、世に出していく意味があります。

このようなチャレンジは、一人だけではできません。MICINでは、プロダクトづくりのプロフェッショナルのみならず、医療の専門性の高いビジネスサイドのメンバーや、制度を動かす貢献をするパブリックアフェアーズ³のメンバーなど、多様な強みを持つメンバーが集まっています。

この記事を読んで少しでも興味を持たれた方、是非ご一緒に、こうしたチャレンジに取り組みましょう!


MICINではメンバーを大募集しています。
「とりあえず話を聞いてみたい」でも大歓迎ですので、お気軽にご応募ください!
MICIN採用ページ:https://recruit.micin.jp/

<説明>
1 治験:「くすりの候補」を用いて国の承認を得るためのデータを集めることを目的とした、人を対象とした試験のこと
2 エビデンス:診断・治療が有効であることを示す証拠や検証結果・臨床結果のこと
3 パブリックアフェアーズ:政府や世論に対して行う、社会の機運醸成やルール形成のための働きかけ活動

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